庭には二羽ニワトリがいる

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タイトルを読んで「おいおい!ダジャレかよ!つまんねー」と思った方は正直に挙手していただきましょう。

 
たしかにダジャレですが、別にウケ狙いではありません。僕が小学生の頃本当に庭で二羽のニワトリを飼っていたんです。
 
最初に言っておきますけど僕の実家は農家でもないし家畜を飼ってるわけでもないです。普通の家でペットとしてニワトリを飼ってました。
 
これは今から約13年前のお話です。
 

ニワトリを飼うキッカケ

僕の家は本当に普通の家庭。父親はサラリーマンで1軒屋だが決して広くはない。閑静な住宅街に佇むごくごく普通の家です。
 
そして僕はひとりっこなのですが、小学生にとってそれは寂しいことだったのです。
 
まわりの友達には兄弟がいる。しかも中には兄弟がいるのにも関わらずペットまで買っている友達もいました。僕はそれまでカブトムシしか買ったことがなかったので犬や猫を飼っている友達がうらやましかったのです。
 
兄弟もいてペットも飼っている友達がそれはそれはうらやましかった。本当は兄弟がほしかったのですが、子どもながらに兄弟は無理だからペットを飼ってもらおうと考えました。考えてみればこれが人生初の妥協だったかもしれません。
 
そしてペット(犬)がほしい旨を母親に伝えました。僕の母親はどちらからというと動物が嫌いなので、僕の望みは速攻で却下されました。
 
落ち込みました。兄弟がほしいところを妥協して犬にしたのに、その妥協案までもが通らない。犬くらいかえるだろ!と小学生の僕はっ憤慨。母親がダメなら父親に頼もうと考え父親にも相談。
 
父は僕の話を聞き母親が納得すれば買うことを許しました。闇に刺した一筋の光。僕は父親という強力な仲間を引き連れ再び母のもとへ。
 
しかし僕の願いはまたもや速攻拒否。父親も粘って説得してはくれましたが、「犬なんか飼ったらあなたの給料じゃ食べていけないわ!!」と一括され、あえなく撃沈。父親より母親のほうが強いことを知った僕は、このときから母親派になったことは言うまでもありません。
 
そこで犬は高いからダメ解釈した僕は、比較的安い生き物なら帰るのではないかという考えを持ちます。そして母親にいくらまでならお金出せるの?と質問。
 
そうすると母は「1000円くらいかな」と言います。「おいおい!1000円じゃまともなペットなんか買えねぇよ!」と思ったかは別として、一応弱者である父親に相談。父も「1000円かぁ・・・」などといっていましたが、少し考えた後こういいました。
 
 
「ひよこなら買えるぞ!」
 
ひよこをペットにしてる友達は周りにいなかったので一瞬「何言ってんだ」と思いましたが、僕も1000円で買えるペットはひよこくらいかなと思えてきたので、考えに考え抜きひよこを買おうと決めました。
 
母親には父親と一緒に頼みました。父が見方で若干心許なかったですが、粘りに粘ってひよこなら買っていいことに。条件は一生懸命世話をすること。
 
最初はひよこをペットってなんだかカッコ悪くないかなと思っていましたが、この際贅沢は言っていられません。妥協です。
 
兄弟から犬に妥協して、それすらも妥協した結果ひよこを飼うことになりました。変な話です。
 

ひよこを買いにペットショップへ

ひよこってどこで買えるのか知らなかったんですけど、普通にペットショップに売ってるんですね。
 
段ボールにだくさん入れられたひよこを見て一番元気な個体をチョイス。
 
ちなみに1匹525円。ひよこにもしっかりと消費税がかかることに驚いたことを今でも鮮明に覚えています。
 
1匹税込み525円、つまりは税別500円なわけです。買うときに1000円くらいならいいと言われていたので、2匹かえる計算になります。
 
そこで僕は1000円なら2匹買えると母に主張。父親も1匹じゃかわいそうだから2匹買ってやろうと言い、めでたく2匹買うことに。
 
うきうきで家に連れて帰り、ひよことの生活が始まります。
 
 

ひよことの生活

ひよこを飼ってからは学校が終わったらすぐに帰って、ひよこの世話をする生活が始まりました。

 

世話といっても餌と水を上げて家である段ボールの底に敷いてある新聞紙を取り換えるだけ。あとは部屋に放して散歩させてました。

 

よちよち歩く小さい鳥はものすごくかわいかったです。

 

しかし1ヶ月もすると結構大きくなってきます。大きめの段ボールで飼育していましたが、そろそろきつくなってきそうと言った感じ。でもまだ見た目は大きめのひよこです。かわいがりました。

 

そして2ヶ月経ちました。このころになると大きくて段ボールじゃ無理。家で飼うことに限界を感じ、庭に小屋を作って外で買うことに。すでにこのころには少しトサカが生えていた気がします。

 

3ヶ月目にもなるとそれはもう立派なニワトリ。小学生の頃の僕は怖くて近づくのもためらうようになりました。飼い主である僕を果敢につつくニワトリたち。文字通り、庭には二羽ニワトリがいる状態になりました。

 

もうこのころには父が世話をしていました。僕は毎朝学校に行く前に覗くだけ。小屋から出さなければこっちのもんです。

 

そんな幸せ(?)な期間もつかのま。重大なことが起こってしまします。

 

鳥インフルエンザの流行

世間では鳥インフルエンザが流行し、養鶏場では何万羽もの鳥たちが処分されました。一応僕の家にいるニワトリも鳥なので感染する危険性は十分にあります。

 

住宅街だったこともあり、うちのニワトリがインフルエンザになっては近所に迷惑がかかる。だからと言ってその辺に逃がすわけにはいかない。どうしようかと家族会議をしました。

 

夜のうちにこっそろ学校の飼育小屋に入れるという意見が無視されたことは言うまでもありません。

 

結局は父が会社で貰い手を見つけたので、その人に譲ることに。

 

別れ

いよいよ別れの日。今日ばかりは最後なのでニワトリと触れ合おうと思い、恐怖心を抑え、自ら歩み寄りました。しかし奴らはこれでもかと僕をつつきます。やり場のない怒りと、こみあげる悲しさ。せっかく育ててあげたのにつつかれるなんて買う前は思ってもいませんでした。

 

そして貰ってくれる人の家に届けます。僕の家よりも広く、いわゆる農家の方。庭も広かったので、きっと家にいるよりも幸せだろうと思い可愛がってくださいとお願いしました。

 

家に帰ると当然ですがニワトリはもういません。せっかく飼ったはじめてのペットが鳥インフルエンザの流行で譲るとは考えてもいませんでしたが、生き物を飼うという経験ができてよかったなと思います。

 

後日談

ニワトリたちがいなくなって僕が悲しんでいるだろうと思ったのか、定期的に会社の人にたのんで写真を貰い僕に見せてくれました。新しい写真を見るたびに大きくなっているのを見て僕は嬉しかったです。

 

ですがある日を境に写真がなくなります。僕が父にニワトリは元気なのかと聞くと、何とも言えない表情でこういいました。

 

 

「食べちゃったって」

 

予想外の発言。貰ってくれた人は大きくなったから食べたそうです。まさか食べるとは思いませんでした。

 

ちょっぴり人間として大きくなった体験でした。 


ちなみにその日の夜僕は布団で涙を流しながら寝ました。

 

 

おわり